【お産蜜月 第十四話】君が私を通ったときの話。(前編)

愛しい君、お産よ。

君が一度私を通った時の話をしよう。

 

あの時授かった一粒の娘も

おかげさまでこの度、10才のちょっとした女子になった。

 

たった一度の君との大切なハネムーンの想い出を

いつか記しておこうと思いつつ

もったいぶったみたいになってしまったが、

 

この際一度回想しておくことにした。

 

初めの結婚を35才で解消し、

37才で再婚すると決まった途端、

私はすぐに一粒のいのちを授かった。

 

できることなら自分好みに自宅出産をしたいと思った。

当時住んでいた賃貸アパートは

オーナーの考えで、オールアース住宅という電磁波の生体への影響に

気を配られた自然素材住宅だったし、

そういう環境に移ったからすぐに授かった気もしていた。

 

そんな自宅で落ち着いて産んでみたかったが、

家族にそういう生々しいことの世話が得意な人がおらず

サポートを得られないと考えて、すぐ諦めた。

 

そして、妊婦健診からお産まで

当時勤務していたM病院でお世話になった。

 

10年前の松の内、

私はいつ産まれてもいい大きなおなかで

2日かけて近所の七福神めぐりをしていた。

 

私は妊娠初期からよく歩くことを心がけていた。

 

知らない人も多いようだが、

よく歩くことや身体機能を最大限に鍛えておくことは

現代人にとっての最重要の安産の秘訣だ。

 

私は大野明子先生の考えに習って、

元気な初産婦は1日3時間目安に歩くことを推奨していた通り

自分もそれを実践していた。

 

スクワットは10回×10セットを毎日だ。

 

下半身の筋肉も柔軟かつ引き締まってくるし、

心肺機能も負荷とバランスがとれるし、気も充実して巡るようになる。

七福神めぐりの終点の弁財天に参った直後に、

私は高位破水をした。

 

破水したらすぐに入院する原則を承知しつつも、

私は自宅でしばらく過ごして

自然陣痛が来ないかなあ。。とのんびり構えていた。

 

一晩経っても陣痛が始まなかったので、

その時点で高位破水したことにして(←したらダメなやつ)

私は電車と歩きでM病院に行き入院の運びとなった。

 

多少緊張しながら、

近隣を散歩したり水天宮にお参りしたりして過ごしたが

その晩も陣痛は来なかった。

 

翌朝、名物S院長が

採血で炎症反応がないことを確認してこう言った。

 

「どうする?あなたの考えでいいわよ。。」

 

分娩施設のマニュアルでは、破水後陣痛が来ない場合は

分娩誘発(いわゆる促進剤を使う)と決まっていることが多いが、

私の考えを尊重しますということだった。

 

私は、「でしたら自然に待ちたいです。」

と伝え、引き続き待機することになり、

また散歩コースに出かけた。

 

M病院の故S院長は、戦う女性医師、

いわゆる社会派で知られた人だったし、

なんというか、懐が広い人だった。

基本的には利用者のニーズに沿うスタイルで

いろんな案件を受け容れていた。

 

私の視点では、その分S先生は

世の女性が女性であるが故に経験する

最も大きな痛みや悲しみの類を

我が身で必死に引き受けておられたように思う。

さて、私のお産に戻ろう。

 

入院翌日の昼間も、

少しぐらいは痛むが本格的な陣痛には程遠かった。

私は、淡々としつつも、内心焦りを感じていた。

 

明日までお産が進まなかったら

陣痛促進するの、イヤだなあ。。

 

と、どこかで不安な気持ちを隠し持っていた。

自然じゃないとイヤ。

というこだわる感覚に、客観的な私が違和感を感じていた。

 

お産する力って、

どーんとハラが座った状態で強くなるもの。

って、私は経験と知識で知っていたから。

 

陣痛がこないとか、弱まるとか、なんらかのことがあって

陣痛促進したり帝王切開になること。

 

それを恐れる気持ちは、もう邪魔なだけだった。

私の自然分娩への「こだわり」はもはや手放すときにあった。

 

私はやるだけやった。

あとは、なるようになる。

大いなる力にに身を委せること。

どんなプロセスのお産になることも受け容れる。

そう覚悟をした。

 

お産とは前進あるのみ。

後戻りできない生命のプロセスの一環なのだ。

 

そこからは、私の内面はとても静かになった。

文字通り「ハラが決まった」のだ。

 

日勤していた顔なじみに助産師からのススメがあり、

夕方からは足湯をしながらシャワーして、

せんねん灸で熱を入れて過ごした。

 

その助産師が

「よく動いていたし大丈夫ですよ、きっと。」

と言ってくれたことも、とても励みになったし

マインドの支えになった。

 

当事者になってみると

こういう小さな言葉かけが大きな支えになることが

よくわかるものだ。。

 

そして、夜になり、めでたく自然陣痛が発来した。

君が私に降りて来た!

 

当時の夫が私に寄り添う形でベッドに一緒に横になっていたら、

モニタリングの様子を確認しにきたある助産師が

私たちの様子を見て、邪魔くさそうにしたように感じた。

ああ、この助産師が担当の間は産みたくないものだ。

と思った。苦笑

 

一方陣痛は、いい感じに来ていた。

陣痛の波がきたら、ただ長く息を吐いてすごした。

仕事上、陣痛が来ることはよろこばしいことというイメージしかなく

不安はなかったし、

バッチフラワーエッセンスを度々摂取したのも

分娩第2期を一人安らかにすごすことの

サポートになったと思う。。

話はそれるが、

妊娠期にも、いわゆる統合医療的なケアを

あらゆる側面で取り入れていた。

 

カイロプラクティック+エネルギーワークを

長年通って信頼しているストウヒーリングセンターにて定期的に受けた。

 

ホメオパシーの Arnicaを服用していたし

お灸したり、

腎のこんにゃく温湿布の手当てをしたり。

 

水天宮で授かった長い腹帯は、切迫早産ぎみになった際

ちゃんと毎日着けてみるととてもサポートになることが実感できて

愛用していた。

 

こうした細かい知恵があることが

もっと知られるようになると、

妊娠もお産ももっとステキな経験になって行くだろうに。

と思うことは多い。

 

後編へ続く。

(☆第十三話の続きは、また別の時に書きますね。)

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