【お産蜜月 第十三話】女性の感性が君へと導く。

私は君について、

もっと知りたいと焦がれていた。

 

Aの医局では毎年親睦目的での旅行があり、

その年は愛知県に行くという。

 

昼夜を問わず働き、休みがほぼない生活だ。

私は、それならついでにと自由行動を選んだ。笑

 

自然分娩の大家として知られていた

愛知県岡崎の吉村医院。

私は電話をかけた、しかも医局の電話を使って!

(なかなかやるよね~ 笑)

 

電話口で名乗るとき、

医院に見学したい旨と

A所属の産婦人科医という身分を伝えた。

電話はすぐに吉村正院長に取りつがれた。

ただ見学を受け入れてもらっただけでなく、

「これはあなたの女性としての感性がそうさせるのです。

ぜひ来てください。」

との激励のような力強い言葉をかけられた。

 

ただ思いつきのまま行動していた当時の私にとって

吉村先生の言葉は若干謎めいた言葉かけに感じられたが、

今となっては

「女性としての感性がそうさせる」の意味がよくわかる。

 

その電話をかけたのは

いのちの感性、からだの知性の領域からくる動き

からの行動だ。

そういう行動力は、気功法に親しんでいた学生時代からあった。

 

一般の枠組みにとらわれている間は

その動きは封じておくのが賢明かもしれないが、

私はしっかり息をしていたいのだ。

なんならアホと思われて大変結構である。

 

そして私は、医局旅行で同僚が皆〇〇万博に行く間

予定通り自由行動をして吉村医院を訪問した。

 

朝は、吉村先生の外来で妊婦検診に陪席した。

医院施設の隣の土地に移築された古民家で

妊婦さんたちが集う場所に参加した。

 

雑巾掛けをしながらスクワットしたり

丁寧に用意されたご飯を食べたり

そこでは安産に向けてからだや心を整えることに

勤しんでいる様子は静かで穏やかであった。

 

昼下がりになり、

ある女性のお産が始まり入院になった旨の

知らせを受けて

私は母屋ならぬ、医院に移った。

 

私は、その産婦Cさんと夫のいる部屋に行った。

そこは、畳敷きの部屋にただ布団と窓があるだけ

という簡素な民宿の一室のような部屋であった。

 

部屋には君が降りてくるときの

静かで神聖で切ないような、特有の気配に満ちていた。

追伸:京都で妹と。二人でお茶をしたり買い物をしたり。。

私の心のなかで小さい女の子のイメージだけど、もう43才か!苦笑

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