あるカンジダ腟炎の女性の場合⑵

⑴のつづきです。

通常のカンジダ膣炎治療で症状が悪くなる女性に対して、

私はホメオパシー療法で治したいと面談と処方を変え続けても

いまいち良くならないという経過でした。

ファミリーコンステレーションという家族システムにアプローチする手法を取り入れました。

コンスタレーションは星座という意味があり、

ファミリーコンステレーションのことを家族の座と訳されていた時期もあったそうです。

このケースでは、

家族のメンバーのコンスタレーションだけでなく、

カンジダ膣炎とういう症状自体を要素として座に入れて配置しました。

そのコンステレーションであらわになったのは、

カンジダ膣炎という症状が彼女を必死に守っている

という状態でした。

カンジダ膣炎という症状は何から本人を守っているのか?

それは、

彼女が過去の結婚の中で体験したDVと流産のトラウマからだったのです。

つねに膣炎でかゆいという不快な症状があるために、現在のパートナーとセックスがしにくい体調が続いていました。

彼女はその症状が自分を過去の傷から守っているということにコンステレーションを通して気づき、

提案したワークを通じて

今はその症状が必要ないという新しい視点を手に入れて、

症状をみずから手放すことができたのです。

 症状が何を表しているのか?
そのテーマが理解されることで、

ホメオパシー療法でのアプローチも、何に焦点を当てるかが明確になりました。

そのトラウマに対する薬を選びなおすことができ彼女の治癒を促しました。

現在のパートナーとより深く結びつくことを阻んでいた過去の体験の影響を手放し、彼女は幸せをつかみました。

この方のケースは私自身にも大きな気づきを与えてくれました。

ファミリーコンステレーションを学び始めたばかりだった私は、そのコンスタレーションに愕然としました。

治療がなかなかうまくいってない時の私は、

自分が医師として求められていることに応じて単に症状を取り除こうとしていたわけです。

しかし、

人の全体を診るというホリスティックな医療というのは、

その症状や病がその人の人生の何を表現しているものなのか?

そのことへの気づきや尊重することなしでは成り立たないことなのだ。

医師として何をしたいのか?

病気が治るとはどういうことか?

本当に気づかされ問いかけられることの多い患者さんとの出会いでした。

それも、その方が私を探し出して、わざわざ来て下さらなければ経験し得ないことでしたから、

その方の愛と健康を求める勇気が医師として何をやりたいのかを教えてくれることになり、

私を迷い道から救ってくれたことを深く感謝しています。

もしかしたらこれをお読みのあなたも、症状や病気、子どもを授からないことなどで

苦しんでいらっしゃるかもしれません。

自分が本当に望んでいることが、一般の医療の中で得られないからといってそれを理由に諦める必要はありません。

勇気を出して真の望みを求めることをオススメします。

同じ症状や病名でも、一人ひとりにとってはどのような表現なのか異なります。

苦しみがとくに長く続いている場合、

症状を毛嫌いして退治しようとする代わりに、

症状が自分の何を代弁しようとしてくれているか?と、本人が立ち止まって考えてみるという姿勢が大切です。

その勇気ある小さな動きが

今からの時代の医療を変え、全く新しいものにすることでしょう。

関連記事

  1. 谷中「月の小屋」オープンデーでした。

  2. 「子宮が使われない」という虚しさ。

  3. いのちを受け取る痛み。故ヘリンガー師のとの思い出。

  4. 【お産蜜月 第四話】「お産が趣味やねん。」

  5. 「いのちの場」私の見方

  6. 【外来日誌 vol.14】「性を大切しなければ困ることがある…